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しまね連れづれ草

 

2017年3月号

『出雲国風土記』は年男?年女?

    その年の十二支と同じ十二支の年に生まれた人のことを年男、年女と呼びますよね。ですから、酉とり年の平成29 年(2017)は、満12歳・24歳・36歳・48歳・60歳・72歳・84歳・96歳……となる酉年生まれの人が年男・年女ということになります。

    さて、それでは、『出雲国風土記』がいつ誕生したのか、皆さんご存知でしょうか。奈良時代につくられたということは何となく知っている方もいるでしょうが、年月日まで具体的にいえる人は少ないのではないかと思います。「風土記」そのものは、和銅6年(713)、全国60数カ国に対し、作成し中央に提出するよう命じられたのですが、それが現在まで伝わっているのは、常陸(現在の茨城県)、播磨(現在の兵庫県)、豊後(現在の大分県)、肥前(現在の佐賀県・長崎県)、そして、出雲(現在の島根県)の五カ国のみで、しかも、ほぼ完全な形で知られるのは『出雲国風土記』だけなのです。そのため、成立した年月日も『出雲国風土記』しか正確にはわからず、それが今から約1300年前の天平5年(733)2月30日です。実は、この2月30日という日付がなかなかの曲者で、2月に30日はなく、『出雲国風土記』は偽書(ぎしょ)、つまり、後世につくられた偽物(にせもの)ではないかと考えられたこともあったのですが、天平5年は大の月で、30日まで存在しており、『出雲国風土記』も奈良時代の天平5年に生まれたものと現在では認められています。

    少し余談が長くなってしまいましたが、『出雲国風土記』が誕生した天平5年の十二支は何かというと、勘のよい方なら当コラムのタイトルからおわかりでしょうか。そうです、天平5年は酉年で、『出雲国風土記』は、今年、年男?年女?ということになります。ちなみに、年男・年女は、一般に縁起がよいとされるようですので、年男?年女?の『出雲国風土記』にとっても、今年は縁起がよい一年ということになるでしょうか。

    その年男?年女?の『出雲国風土記』に出会える展覧会、その名も「出雲国風土記―語り継がれる古代の出雲―」が、3月25日から古代出雲歴史博物館で開催されます。是非、開幕まで楽しみにお待ちいただければと思います。 

(古代出雲歴史博物館 吉永壮志)