「落差」とは変化なのか進歩なのか。70ミリ、シネラマスクリーンなどの単語さえ過去のものになった。我が青春のとき。食事代を惜しんでも大劇場に向かった時のときめきは遊園地化したシネコンでは味わえない…。
2017年の大晦日。BSプレミアムが黒澤明監督特集を組んだ。放映作品は「七人の侍」「生きる」「用心棒」「椿三十郎」「赤ひげ」の5本。一挙に鑑賞できるチャンスはめったにない。数時間後には年が変わるというのにテレビの前に座り込んでしまった。完璧主義とされる黒澤作品。全放映作品を観終わった感想はそれぞれが今は亡き優れた脇役陣に支えられているということ、黒澤作品とは集団劇だったのだ。白眉は志村喬主演の「生きる」。もう一度劇場の大きなスクリーンで観たい。
それにしても「作品には不適切な表現がありますが…」の字幕はどうしたものか。「鑑賞」より「見方」。これも受け取り方の違いか。
(むー。)