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Mue&Saiのシネマ恋恋

 

2017年2月号

映画賞の季節到来

    昨年末、東京スポーツ新聞から「今年も大賞ノミネートをよろしく」との依頼状が届いた。大賞とは第26 回東京スポーツ映画大賞(委員長・ビートたけし)のこと。この賞選考にはしまね映画祭の旗のもと、個として参加して久しい。

    審査に参加するのは10の地方映画祭。個々の映画祭からのメッセージには毎回熱いものがある。今回も四苦八苦の作業。自身の独断と偏見による各賞3枠のノミネート作品は次のような結果となった。

    2016年度の作品賞は「怒り」(李相実監督)、「海よりもまだ深く」(是枝裕和監督)、「シン・ゴジラ」(庵野秀明、樋口真嗣監督)。監督賞は李相実、是枝裕和、話題賞を含めて「君の名は。」の新海誠。「シン―」の両監督は悩んだ末次点に…。

    作品の寸評も添える。「最後まで目が離せなかった。人は誰も仮面を被って生きている。その孤独感を画解きした秀作」(怒り)。「どこか漂う昭和の匂い、家族の絆を描き是枝節絶調。主人公の一挙一動が男には解る」(海よりも―)。「何というタイミングの良さ。日本の現状をゴジラが見せてくれた。凍りついた怪獣に原発が重なる」(シン―)。

    主演男優賞は渡辺謙(怒り)、阿部寛(海よりも―)、本木雅弘(永い言い訳)。主演女優賞は「怒り」から宮崎あおいと広瀬すず、「何者」の二階堂ふみ。助演男優賞は妻夫木聡、松山ケンイチ、綾野剛。3人は「怒り」の主要キャストである。寸評は「作品の成功はキャスティングにあり。妻夫木は邦画の閉そく感をブッ飛ばした」。助演女優賞は樹木希林(海よりも―)、尾野真千子(後妻業の女)、黒木華(永い―)の実力派をピックアップした。

    外国映画作品賞にはクリント・イーストウッド監督の「ハドソン川の奇跡」を挙げ締めくくった。個性派の東スポ映画大賞。されど地方の一票も時代の顔。1月末の結果発表が楽しみです。

    朗報をひとつ。第25回しまね映画祭のテーマ映画「ふたりの桃源郷」がその年の優れた作品に贈られる「山路ふみ子賞」を受賞。映画評論家の北川れい子さんによると授賞式当日の会場で佐々木聰監督としまね映画祭の光景について語り合ったとのこと。北川さんの声も弾んでいた。

(むー。)