2度目の上映時に受け取った女性の感想文は今も忘れ難い。「『君の名は』は主人とお見合いで観た映画です。前回は思い出の作品をこの場所で確かめたものの、主人は突然旅立ってしまいました。今回は主人が隣にいるような気持ちで鑑賞しました」。一本の映画を何時、何処で、誰と観たのか…。映画という思い出の宝物は時代が変われど変わらない。
今年のしまね映画祭にも観客席からの熱い想いが数多く届けられた。懐かしい、私の青春!」の声が飛び交った松江テルサ会場(優秀映画鑑賞推進事業プログラム)に寄せられた一文を紹介したい。
「戦後間もなくの『青い山脈』(1949 年・今井正監督)、『また逢う日まで』(1950 年・同)は母の青春時代の作品でした。若い頃よく映画を観たいと話していたその母も先日亡くなりました。今日は母の写真と共に劇場に来ました」。
「君の名は。」から「君の名は」へ。記憶の彼方で輝きを増すのが映画の魅力なのだろう。人に人の思い出がある限り時空を飛び越えて映画は生き続ける…。
(むー。)